ウクライナ大統領選挙についてまとめてみた
第二回「今回の選挙の争点と今後の展望は?」

こんにちは、ご覧いただきありがとうございます。
今回はウクライナ大統領選挙編の第二回。
この記事では選挙結果の決め手となった二人の考え方やウクライナの現状について見たあと、今後について考えていこうと思います。

前回に引き続き、以下に注意。

註:この記事は一つのテーマについて大まかに全体像を知ることを目的として情報をまとめたものです。細かい数字などは極力省いておりますが、もし明らかな間違いがあればご指摘ください。
思想信条などは抜きにしておりますので、一方に片寄った書き方はしないつもりです。もし、その手の要望があってもお応えしかねます
なので、日本及びその近隣については今後も取り上げないつもりです(そういう要望が出そうなので)。

以上、ご理解いただきたいと思います。

今回の目次。
・「二人のスタンス」
主に外交に関する二人の考え方の違いについて

・「前期ポロシェンコ政治の実績」
この5年のポロシェンコ政権の結果について

・「ロシアとの関係・今後」
ロシアの今回の選挙への関心具合とロシアにとっての選挙結果の考え方について

の三本立てです。



結果は皆さんご存知の通り、ゼレンスキーの圧勝で終わりました。
2名で行われた決選投票では4分の3近い得票数を集め、国民の意志が強烈に示されたと言えます。

選挙での争点はポロシェンコ大統領の任期中の実績でした。
また、南部のクリミア(厳密には州ではなくウクライナ領内の自治共和国)や東部のドネツク州、ルガンスク州はロシアの管轄下にあり、その対応も大きな問題となりました。


・「二人のスタンス」

基本的な考え方
ポロシェンコ:明確な親EU、反露
ゼレンスキー:??

ポロシェンコはロシアを完全に敵対視し、EUへの加盟を目指しています。意思は強く、憲法に「EU加盟」を書き込む改正を行ったほど。
その前の大統領がロシア寄りだったので、対立軸として反ロシアを打ち出したという経緯もあります(元々はロシアに親和的な政党にいたのですが……)。

一方のゼレンスキーは「これまで通りEUと仲良くしつつ、ロシアと対立はしない」という考え方のようです(政治家としての実績が無いため、実際のところは不明)。
この背景には、先ほどの人物紹介でも書いた通り、ロシア語を母語とし、ロシア人からの人気が高いということがあります。
とはいえ、単なる「親ロシア」ということでもなく、そもそもウクライナでは「EUか!ロシアか!」という極端な考えになりやすく、またロシアからの軍事介入を受けている現状もあり、「ロシアと戦え!EUを頼れ!」という考え方が強いことから、ロシアとの対話を重視するゼレンスキーは「ロシア寄りだ!」と批判されやすい立場にあります。



・「前期ポロシェンコ政治の実績」

不景気、汚職問題で国民の期待に応えられず。

前回選挙の頃と比較した経済状況。

平均賃金 20%↓
年金 半分以下
一方で、
通貨(フリヴニャ) 1/3以下
ガス料金 11倍 電気代 4倍

前回の記事で紹介したように、ヨーロッパ並みの暮らしを国民に約束したポロシェンコでしたが、結果的には以上の通り惨憺たる状況。

また、汚職の排除が最も大きな課題の一つでしたが、実績を残したとは言い難く、その不満がゼレンスキーに流れました。他にも、経済的に貧しい人が非常に多く、そういった人たちへの対策も課題を残しました。
また、前回の選挙の直前にクリミア半島がロシアに占領され、東部2州にも軍事介入を受けたこともあり、この解決が急務でした。
ロシアとは政治的解決を目指す「ミンスク合意」を結んだものの、実際には何の成果も挙げられないままで、ロシアの実効支配は既成事実化しています。

こういった不満がとても根強く、ゼレンスキーへの追い風になったのですが、決してゼレンスキーに期待していたわけではなく、単にポロシェンコに失望した、というのが投票理由でしょう。




・「ロシアとの関係・今後」

最後にロシアとの今後について考えてみようと思います。
ゼレンスキー当選後のロシアとの関係はどうなるのでしょうか。

・ロシアから見たウクライナ
ロシアにとってゼレンスキーの当選はセカンドベストと言えるでしょう。


ちなみに……、
ロシアにとってのベストはユーリ・ボイコ(ユリ―・ボイコ)だったと言われています。
彼はプーチンにとても近い(親族でもある)ウクライナの政治家メドベチェク(メドヴェチューク)の支援を受けており、ロシアの望む大統領候補でした。
しかし結果的には一度目の投票で4位となり、決戦投票には進めませんでした。ただある程度の得票数は得たため、秋に行われれる議会選挙で(ボイコの得票数がそのまま自身の党に入れば)親ロシア派がある程度の勢力を得るものと見られます。
以上、蛇足


ロシアとの交渉の余地を残したゼレンスキーの当選はロシアにとっては悪くない結果でした。
今後は、軍事行動ではなく外交交渉によって、クリミア半島と東部2州の実効支配を目指すものと考えられます。
軍事緊張は緩和されるかもしれませんが、一方でウクライナにとって全面的な解決は難しいかもしれません。


以上、簡単に今回のウクライナ大統領選挙についてまとめてみました。
皆さんの国際政治における理解の一助になれば幸いです。
また、この記事はあくまで大まかな理解の助けになることを目的に執筆しておりますので、細かい数字やより詳細な歴史・経緯について興味のある方は是非、ご自身でより興味のある分野について調べられることをおすすめします。

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